現場で評価される!エンジニアが身につけたい“伝わるドキュメント”の書き方完全ガイド

現場で評価される!エンジニアが身につけたい“伝わるドキュメント”の書き方完全ガイド

こんにちは!ITキャリアのプロです!

鈴木容子
今日はエンジニア全員に関わるドキュメントの書き方についてです。

エンジニアとしての評価を高めたいなら、「ドキュメントを書く力」を磨くことは避けて通れません。技術的なスキルと同じくらい、情報を“正しく・わかりやすく”伝える力は重宝されます。とはいえ、どこから手を付けていいかわからない、読み飛ばされてしまう…そんな悩みを持つ方も多いはず。本記事では、現場で信頼されるエンジニアが実践している“伝わるドキュメント”の書き方を、初心者でもすぐ実践できるステップと具体例で解説します。

そもそも「エンジニアにとってのドキュメント」とは?

「ドキュメントを書くのは苦手だ」「書く時間がない」——そんな声を現場でよく耳にします。しかし、実はドキュメントはエンジニアの仕事の質を左右する“隠れたスキル”です。このパートでは、なぜドキュメントが必要とされるのか、どんな種類があるのかをわかりやすく整理し、書くことの本当の価値に迫っていきます。

ドキュメントが重要な理由とは?

ドキュメントは“チームの記憶”であり、品質・効率・信頼性を担保する要素です。

ドキュメントを書くことで、エンジニア個人の知識がチームや組織に共有され、再利用可能な資産になります。作業の属人化を防ぎ、ミスの繰り返しや情報の取り違えを減らすことができます。

たとえば、サーバ構成の設定手順書がなければ、担当者が変わるたびにゼロから構築し直す必要が出てしまいます。逆に、明確な手順書があれば、誰でも一定の品質で作業を再現できます。

ドキュメントは“今の自分の仕事を未来の誰かが活かすための橋渡し”です。

エンジニアが扱うドキュメントの主な種類

エンジニアが作成・参照するドキュメントには複数の種類があり、それぞれ役割が異なります。

  • スタートガイド(初心者の導入をサポート)
  • チュートリアル(実践的な使い方の習得)
  • APIリファレンス(機能の仕様を正確に伝える)
  • 設計書/構成図(技術的な背景・構造の共有)
  • 手順書/運用マニュアル(具体的な操作手順)
  • リリースノート(変更履歴や影響範囲の共有)

プロダクトの成長フェーズや対象ユーザーによって適切に使い分けることが重要です。

「ドキュメントは誰のため?」が全ての出発点

エンジニアが書くべきドキュメントは、“自分のため”ではなく“未来の読み手のため”にあります。

「自分がわかっていればいい」「聞いてくれれば説明する」では、知識は属人化し、再現性のない仕事になります。「他人がこの情報を使うなら何を知りたいか?」という視点で書くと、内容の構成・言葉の選び方・説明の粒度も自然と変わります。

読み手への思いやりこそが、評価を高め、チーム全体の生産性を引き上げます。

「伝わるドキュメント」を書く前に知っておきたい3つの前提

「わかりやすいドキュメントを書きたい」と思っていても、書き始めると手が止まってしまうことはありませんか? その原因の多くは、事前の“設計”が甘いことにあります。読みやすく、伝わりやすいドキュメントを作るには、書く前に「誰に」「なぜ」「何を書くのか」を明確にすることが不可欠です。

「誰が読むのか?」を明確にする

ドキュメントの読者像が曖昧なままでは、内容も言葉もブレて伝わりません。

書き手にとって当たり前のことでも、読み手によっては未知の領域かもしれません。読者が初心者か中級者か、技術職か非技術職かによって、説明の深さや用語選びは大きく変わります。

読者像を絞り込むことで、伝えるべき情報が明確になり、「伝わるドキュメント」に近づきます。

「何の目的で読むのか?」を意識する

読者はドキュメントを“読む”ためではなく、“目的を達成する”ために開きます。

たとえば、開発環境のセットアップ手順書なら「セットアップ完了」まで導けるかが最重要。読者が迷わず操作できるように、ゴールから逆算して内容を組み立てる必要があります。

目的に寄り添うことが、読者の「できた!」を生む最大の鍵です。

「どのタイプのドキュメントが最適か?」を判断する

目的に応じた“ドキュメントのタイプ選び”が、書くべき内容と構成を決定づけます。

導入を助ける「スタートガイド」、実践的に学ぶ「チュートリアル」、詳細を把握する「リファレンス」など、それぞれ役割が異なります。読み手の“情報探索の旅”を想像し、最適な形式を選びましょう。

ドキュメント作成のプロセス【準備〜作成〜運用まで】

「いざ書こう!」と思っても、何から始めれば良いかわからない…。ドキュメント作成にはそんな迷いがつきものです。実は、良質なドキュメントは“行き当たりばったり”で書かれているわけではありません。明確なステップと工夫を経て、読みやすさ・伝わりやすさを生み出しています。

STEP1:ユーザー理解とペルソナ作成

最初にやるべきことは、「誰のどんな課題を解決するか」を深掘りすることです。

ユーザー像が曖昧だと、内容の粒度や構成が定まらず、薄く広く・誰にも刺さらない文書になってしまいます。たとえば、社内向けの構築手順書であれば「新卒1年目のインフラエンジニアが、初めてLinuxサーバを構築する場面」といった具体的な状況を想定します。

これにより、どこでつまずきやすいか、どこに補足が必要かが明確になります。

STEP2:アウトラインと構成を組み立てる

書き始める前に「地図=構成」を描くことで、全体の一貫性と読みやすさが担保されます。

設計なしではスパゲッティ構造になります。おすすめは、読者がゴールにたどり着くまでの道のりを手順として分解することです。

  • 前提条件(環境・知識)
  • 手順
  • 補足事項
  • よくあるエラーと解決策

こうした骨組みを作ることで、情報の配置が論理的になります。

STEP3:ドラフト執筆〜レビューまでの流れ

「とにかく書く」→「他人に読んでもらう」の2段階が、内容を磨き込む鉄則です。

ドラフト執筆時は完璧さを求めず、まず手を動かすこと。タイトルと見出しから書き始めると手が進みやすくなります。書き終えたら必ずレビューを入れましょう。第三者の目で読まれることで、知識の呪いや説明不足に気づけます。

構成、文体、理解のしやすさの3軸でチェックしてもらうとベストです。

STEP4:公開とフィードバック収集

完成したら終わりではなく、“使われてこそ価値がある”という視点が重要です。

実際に読者が使ってみて、どこでつまずいたか、何が不足していたかを知るにはフィードバックが欠かせません。フォームやコメント欄、アンケート、社内チャットなど、フィードバックを集める導線をあらかじめ設けておきましょう。

使われ方を見ながら改善していくことで、ドキュメントは“生きた資産”になります。

STEP5:定期的な改善と非推奨化

時間の経過とともにドキュメントは劣化します。定期的な見直しと断捨離が不可欠です。

おすすめは「最終更新日を記載する」「更新フラグを設ける」「定期レビューのスケジュールを組む」など、仕組みとして管理することです。

役目を終えた情報は“非推奨化(deprecate)”し、無効であることを明記することで、読者の混乱を防ぐことができます。

「読み飛ばされないドキュメント」にするための7つのコツ

せっかく時間をかけてドキュメントを書いても、「読まれていない」「理解されていない」と感じたことはありませんか?読者は最初から全文を丁寧に読むわけではなく、“必要な情報だけを拾い読みする”傾向があります。

コツ1:F字パターンを意識した構成にする

ユーザーは左から右、上から下に“F型”で視線を動かして読むため、その動線に合わせた配置が重要です。

たとえば、最も重要な情報はページの冒頭や、見出しの直下に配置しましょう。「〇〇するには、以下の手順を実行してください」と結論から入ることで、読者はすぐに目的の情報にアクセスできます。

コツ2:最も重要な情報を冒頭に書く

「一番伝えたいこと」は、できるだけ上に配置して“流し読み”でも伝わる構成にします。

導入や背景説明よりも先に、「このドキュメントで何ができるか」「何を達成できるか」を明示することが重要です。

例:「この手順書では、Node.jsを使ってAPIサーバを5分で立ち上げる方法を解説します。」

コツ3:見出し・リスト・図表を活用して情報を分割する

情報は“塊”ではなく“小分け”で伝えることで、読者の理解度が飛躍的に上がります。

  • 見出し:章立てして読みどころを明確にする
  • リスト:要点を箇条書きにする
  • 図表:視覚的に補完する

構成図やコマンドのフロー図があるだけで理解は大きく進みます。

コツ4:複数の方法がある場合は分けて書く

「GUIでの操作」と「CLIでの操作」など、複数の手段を混在させると読者を混乱させます。

別の見出しで明確に分け、それぞれ独立した流れで説明しましょう。

コツ5:冗長な日本語表現を避ける

ドキュメントは“会話”ではなく“設計書”。無駄を削った明快な表現が好まれます。

例:

  • ❌ 機能Aを使用するという方法もあります
  • ✅ 機能Aも使用できます

コツ6:「知識の呪い」に注意する

書き手が知っていることを、読み手も知っている前提で書かないこと。

「envファイルを使います」ではなく、「envファイルの作成手順」もセットで説明する必要があります。

コツ7:ユーザー視点を持ち続ける

ドキュメントは“誰かの役に立つため”にあります。読者が「ありがとう」と思える工夫を常に意識しましょう。

エンジニア別|おすすめドキュメント事例集

エンジニアと一言でいっても、業務内容はさまざま。インフラエンジニアとWebエンジニアでは、扱う技術も目的も違うため、必要とされるドキュメントのタイプや書き方も変わってきます。

インフラエンジニア向け|構成・運用を支える2大ドキュメント

インフラエンジニアにとっての生命線は「構成手順書」と「障害対応マニュアル」です。

構成手順書は、サーバー・ネットワーク・クラウドインフラの設定を正確に再現するために不可欠です。どのOSを使うか、パッケージのバージョンは何か、構成ファイルの場所など、誰が見ても環境を再構築できるレベルで記述することが重要です。

障害対応マニュアルは、トラブル発生時に即座に対処するための現場の命綱です。ログの取得、影響範囲の確認、リカバリー手順など、時間をかけずに動けるよう情報をまとめておきます。

どちらも属人化を防ぎ、安定した運用を支える必須ドキュメントです。

Web系エンジニア向け|開発と連携を加速させるドキュメント

Webエンジニアが注力すべきは「APIリファレンス」と「READMEファイル」です。

APIリファレンスでは、エンドポイント、リクエスト/レスポンス、エラーコードなどの仕様を明確に記載します。実行例やJSONレスポンスのサンプルがあるとより親切です。Swaggerなどのツールを使えば自動生成も可能です。

READMEは、開発環境構築手順、使用方法、注意点などを一目で把握できる「開発者向けの看板」です。プロジェクトの第一印象を決める存在なので、わかりやすく簡潔にまとめることが大切です。

どちらにも共通する「良いドキュメント」の特徴

役割は違えど、良いドキュメントには共通点があります。

  • 再現性がある(誰でも同じ結果を得られる)
  • 正確で最新の情報が載っている
  • 必要な情報にすぐアクセスできる構成
  • 読者のスキルや状況に応じた記述になっている

ドキュメントはチームや未来の自分への“投資”です。

エンジニアのスキルとしての「ドキュメント力」とは

プログラミングが書ける、環境構築ができる、それだけでは“本当に優秀なエンジニア”とは言えません。現場で信頼されるエンジニアほど、共通して「伝える力」=ドキュメント力に長けています。

なぜドキュメント力はキャリアに直結するのか?

ドキュメントを書く力は「仕事の質」と「チーム貢献力」の証明になります。

どれだけ高度な技術を持っていても、それが他人に伝わらなければ価値は半減します。一方で、業務をスムーズに進めるために必要な情報を整理して届けられる人は、高い信頼を得ることができます。

特にリーダーやマネージャーを目指す場合には、ナレッジを言語化・共有できる能力が強い武器になります。

ドキュメント力は未経験からでも鍛えられるスキル

「文章力」ではなく「構造力」さえあれば、誰でも再現性の高いドキュメントは書けます。

エンジニアに必要なのは小説家のような文才ではなく、「情報をわかりやすい順番で整理して伝える力」です。これはロジカルに考える力と近く、コードを書く思考と親和性が高いです。

段階的に構成を組んで情報を流すことで、自然とわかりやすい文章が書けるようになります。

スキルとしてのドキュメント力をどう伸ばすか?

継続的なアウトプットとフィードバックのループが、最速の成長法です。

  • 社内の業務をマニュアル化してみる
  • READMEやWikiを書く機会を増やす
  • 技術ブログ(Qiita/Zenn)で発信する
  • ChatGPTなどで簡易レビューを得る
  • 優れたドキュメントを読んで構成を真似する

書けば書くほど、伝え方の引き出しが増え、自分自身の理解も深まっていきます。

よく聞くご質問

Q1. ドキュメント作成はどのタイミングで始めるのが理想ですか?

開発や構築の完了後にまとめて書くのではなく、設計段階や作業中から少しずつ書き進めるのが理想です。作業と同時並行で記録することで、記憶違いや抜け漏れを防ぎ、よりリアルで正確な内容を残すことができます。

Q2. 文章が長くなりがちで読みづらくなります。改善方法はありますか?

一文を短く区切ることと、段落ごとに一つのメッセージに絞ることが効果的です。また、読みやすさを意識して適度に改行を入れることで、情報が整理されて視認性も向上します。

Q3. ドキュメントに図やスクリーンショットは必要ですか?

はい、特に操作手順や構成の説明では視覚的な補足が非常に効果的です。図や画像は文章だけでは伝わりづらいポイントを補い、読者の理解を助ける重要な要素になります。

Q4. 他の人が書いたドキュメントを改善したい場合、どこから手をつけるべき?

まずは情報の正確性と最新性を確認し、その上で構成の見直しや用語の統一など、読み手の混乱を防ぐポイントから修正していくのが効果的です。大幅な書き直しよりも段階的な改善が現実的です。

Q5. 技術的なドキュメントでも“読みやすさ”は意識すべきですか?

もちろんです。どれだけ正確な情報でも、読みにくければ活用されません。読みやすさを意識することで、技術に詳しくない人にも届くドキュメントになり、チーム全体の生産性向上にもつながります。

Q6. ドキュメントを書くときにおすすめのツールはありますか?

自分の用途やチーム環境に応じて選ぶとよいでしょう。たとえばNotionやConfluenceはチームでの共有に便利ですし、Markdownで書くならVSCodeなどのエディタが軽快でおすすめです。

Q7. 社内だけで使うドキュメントでも丁寧に書くべきですか?

はい。社内向けこそ丁寧に書くことが重要です。引き継ぎやトラブル対応の際に、読み手にストレスなく内容を伝えられるかどうかで、あなたの信頼や業務効率が大きく変わります。

Q8. コードコメントとドキュメントの違いって何ですか?

コードコメントはその場での意図やロジックを説明するものですが、ドキュメントはより広い文脈で機能や操作手順を伝えるための資料です。両者は目的が異なり、併用することで相互補完になります。

Q9. 誰にも読まれていないように感じるとモチベーションが下がります…

それでもドキュメントは、将来のあなたや新しいメンバーの大きな助けになります。見られないから書かないのではなく、“必要になったときに助ける”という視点で積み重ねることが大切です。

Q10. ドキュメントを書くことが評価に繋がる場面はありますか?

あります。採用面接や社内評価の場面で、自分がまとめた資料を提示できれば、技術力だけでなく伝達力・思考力のアピールになります。ドキュメントは“見える実績”として評価されやすい要素です。

まとめ|ドキュメントは“プロダクトの一部”という意識を持とう

「ドキュメントは最後に“おまけ”で作るもの」と考えていませんか?それは大きな誤解です。ドキュメントはプロダクトと同じくらい重要な機能の一部であり、ユーザー体験を左右する要素です。

ドキュメントも仮説検証の対象である

機能と同様に、ドキュメントも「出したら終わり」ではありません。リリース後にフィードバックを受け取り、使われ方を分析しながら改善していく必要があります。

たとえば「Time to Hello World(TTHW)」が極端に長ければ、構成や表現を見直す必要があります。Web解析やアンケートを活用して、改善ポイントを探りましょう。

読まれる文章より、「使われるドキュメント」を目指す

“わかりやすさ”のゴールは、「理解された」ではなく「読者が行動できたかどうか」です。

読者が迷わず目的を達成できるように、情報の配置や表現に工夫を凝らし、行動をサポートすることが重要です。情報を整理して、読者にとっての“最短ルート”を設計しましょう。

書けるエンジニアこそが“強い”エンジニアである

技術を“伝える力”は、あなたの価値を10倍にする武器です。

特にチームやプロジェクトが大きくなるほど、ドキュメントが果たす役割は重要になります。メンバーの誰かが辞めても、誰でも業務が引き継げる状態を作るのが、プロフェッショナルなエンジニアの姿です。

ドキュメントは“書いて終わり”ではありません。使われて、活かされて、改善されてこそ意味があります。

「これはプロダクトの一部だ」という意識を持つだけで、書き方も、届け方も、大きく変わります。今日からぜひ、“あなたのもうひとつのプロダクト”として、ドキュメント作成に取り組んでみてください。

管理人おすすめ:スタートアップへの挑戦を本気で考えるあなたに

「ドキュメントを書く力」「伝える力」は、エンジニアとしての信頼や評価を大きく引き上げてくれます。実際、ドキュメントスキルを武器にして、チームリードやマネジメントへとステップアップするエンジニアは少なくありません。

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