こんにちは!ITキャリアのプロです。

エンジニアとして上流工程にステップアップしたいと思ったとき、まずぶつかるのが「要件定義と基本設計の違いがよくわからない…」という壁。実はここを正しく理解していないと、設計フェーズで混乱しやすく、チームやクライアントとの認識齟齬も発生しがちです。本記事では、その「違い」を明確にし、迷わず設計に取り組めるようになるための第一歩をお伝えします。
要件定義と基本設計の「違い」は「目的と視点の違い」にある
要件定義と基本設計の違いは、「目的」と「視点」の違いに集約されます。
要件定義は“何を実現するか”を決める工程であり、基本設計は“どうやって実現するか”を考える工程です。
この違いを理解していれば、ドキュメントに何を書くべきかを判断しやすくなります。
たとえば「可用性を高めたい」という要件に対して、要件定義では「RTO2時間以内」「RPO12時間以内」などの条件を設定し、基本設計では「冗長構成」「バックアップ頻度」などの手段を設計します。
このように、目的と手段の視点を意識することで、ドキュメントの書き分けが明確になります。
現場で混同しやすい理由とは?
要件定義と基本設計が混同されやすいのは、ドキュメントの中身が似ているからです。特に非機能要件に関しては、どこまで要件定義に書いて、どこから設計として落とし込むかが迷いやすいポイントです。
プロジェクトの規模や進行スタイルによっては、要件定義と基本設計の線引きがゆるくなっているケースも多く見られます。そのため、自分の中で明確な基準を持っておくことが重要です。
エンジニアに求められる「違いの説明力」
エンジニアとして上流工程に携わるには、設計と要件の違いを他人に説明できる力が求められます。ただ設計書を書けるだけではなく、「なぜこれは基本設計なのか」を言語化できることで、チーム内の信頼が生まれ、調整や意思決定もスムーズになります。
これは経験を積むほどに重要性が増していくスキルです。理解していることを“伝える力”へ昇華することが、上流エンジニアとしての成長につながります。
要件定義と基本設計の「違い」を一言で表すと?
「要件定義と基本設計の違いを一言で説明して」と聞かれて、スパッと答えられるエンジニアは意外と少ないかもしれません。でも、この“たった一言”で本質を言語化できるかどうかで、ドキュメントの品質やプロジェクトの認識統一が大きく変わります。
「要件定義=何をやるか」「基本設計=どうやってやるか」
要件定義は“何を実現したいのか”、基本設計は“どう実現するのか”を決めるフェーズです。
たとえば「24時間稼働を保証するシステムにしたい」という要件があった場合、それは要件定義の中に記載されます。一方、それを実現するために「ロードバランサーと冗長構成を組む」と決めるのは基本設計の範囲です。
このように、目的と手段の違いが理解できると、ドキュメントの書き分けが格段にしやすくなります。
プロジェクトにおける設計判断の軸になる
目的と手段の違いを意識していると、プロジェクト中の設計判断がスムーズになります。要件が変更になったときでも、それが“何を”の話なのか“どうやって”の話なのかで整理できるため、タスクの割り振りやレビューも効率的に進みます。
セキュリティ設計を例に挙げると、「通信を暗号化したい」は要件定義、「TLS1.3を採用する」は基本設計というように区別ができます。
チーム全体で共通認識にしておくことが重要
この違いを自分だけでなくチーム全体で共有しておくことが、設計ドキュメントの品質を大きく左右します。要件定義と基本設計の線引きをチームで統一することで、ドキュメントの重複や抜け漏れを防ぎやすくなります。
「何を=要件定義」「どうやって=基本設計」という共通言語を、プロジェクト開始時点で持つことが、スムーズな設計進行の第一歩になります。
要件定義とは?エンジニアが知っておくべき内容まとめ
「要件定義は大事」とよく聞くけれど、実際に何をどう書けばいいのかピンとこない。特にインフラ領域では、機能よりも“非機能要件”が主役になるため、初学者にはなおさら抽象的に見えてしまいます。しかし、要件定義の理解が曖昧なまま設計に進むと、後々の手戻りや炎上の原因に…。ここでは、要件定義の基本とエンジニアにとっての重要ポイントを分かりやすく解説します。
「要件定義」はプロジェクトの土台を決めるフェーズ
要件定義は、プロジェクトにおいて「何を実現するか」を明らかにする工程です。エンジニアの役割は主に非機能要件を中心に整理することになります。
たとえば、「可用性を高く保ちたい」「パフォーマンスに耐えられる構成が必要」などの要求をヒアリングし、要件として明文化します。ここでの情報が曖昧だと、以降の設計・構築にも支障をきたすため、最初にしっかりと整理しておく必要があります。
非機能要件の理解がインフラ設計のカギになる
要件定義では特に、以下のような非機能要件がエンジニアの中心的な担当範囲となります。
- 可用性(例:RTO/RPOの定義)
- 性能・拡張性(例:同時接続数、スケーラビリティ)
- セキュリティ(例:暗号化範囲、監査ログ保持期間)
- 運用・保守性(例:監視、バックアップ、ジョブ管理)
これらをヒアリングを通じて明確にし、ドキュメントに反映することが大切です。
要件定義書には「理由」も必ず記載する
要件定義書では、項目の裏にある理由や背景をしっかり記載することが重要です。たとえば「バックアップは毎日実行」と書くだけでは不十分で、「RPOが24時間以内のため」「業務に影響が少ない時間帯が深夜だから」といった根拠を書くことで、設計書としての信頼性が上がります。
その後のレビューや設計への引き継ぎもスムーズになるため、理由の記述は要件定義における必須のポイントです。
基本設計とは?構成や設計項目を徹底解説
「基本設計って何をどこまで書くの?」──要件定義を終えた後、次に待っているこのフェーズ。エンジニアとして、要件をどう形にしていくかが試される工程です。実は、ここでの“設計の深さ”が、その後の詳細設計や構築のスムーズさを左右します。この記事では、インフラの観点から見た基本設計の目的や構成内容を、実務ベースで具体的に解説します。
基本設計は「具体的な実現方法」を決めるフェーズ
基本設計は、要件定義で定めた「やるべきこと」に対して、「どうやってやるか」を具体的に決めるフェーズです。
たとえば「99.99%の可用性を確保したい」という要件に対し、「Webサーバーを2台冗長構成にしてALBを使う」という構成を決めることが基本設計の役割です。
この段階で設計が固まっていれば、詳細設計や構築は“ただ実行するだけ”の作業になります。認識のズレや迷いを減らす意味でも、基本設計は極めて重要です。
基本設計書に記載すべき代表項目
インフラ領域の基本設計書には以下のような項目を記載します。
機能要件に対する設計内容
- サーバー構成(種類・台数・用途)
- ソフトウェア構成(ミドルウェア、OSなど)
- ネットワーク構成(ルーティング、ACL、VPNなど)
- セキュリティ構成(ファイアウォール、ゾーニング)
非機能要件に対する設計内容
- 可用性:冗長構成、バックアップ設計
- 性能・拡張性:スケーラブルな構成案
- セキュリティ:暗号化方式、脆弱性対策
- 運用保守性:監視設定、ジョブ一覧、ログ設計
構成だけでなく、「なぜこの構成にしたのか」まで書けると、設計書としての価値が一段上がります。
基本設計で迷わないためのコツ
基本設計は、どこまで具体的に書くかで悩む場面が多いです。そのため、「詳細設計との境目」を明確にする意識が大切です。
たとえば「バックアップ方式」については、基本設計では「S3へ毎日バックアップを取得」とまで記述し、詳細設計でCronの書き方などを詰めるといった具合に分けます。
また、「誰が見ても同じ構成を実現できること」を意識して設計書を書くと、構築担当者やレビュー担当者にも伝わりやすくなります。
要件定義と基本設計、よくある混同パターンとは?
「これって要件定義?それとも基本設計?」と迷う場面は多いです。特に非機能要件はフェーズをまたぐ内容が多いため、混乱しやすいポイントです。ここでは現場でよくある混同パターンを整理し、明確な線引きのヒントを紹介します。
よくある誤解①|ネットワーク構成はどっちに書く?
概要レベルのネットワーク要件は要件定義、具体的な構成は基本設計に書きます。
たとえば「外部通信が必要」「複数拠点をつなぎたい」といった要望は要件定義です。一方、「VPN接続を採用し、ファイアウォールでセグメントを分離する」といった構成は基本設計です。
目的なのか、具体的な手段なのかを基準に判断すると混乱しません。
よくある誤解②|セキュリティ要件はどこまでが要件定義?
セキュリティに関しては、設計と要件の区別が特にあいまいになりやすいです。
要件定義では「通信を暗号化したい」「ウイルス対策を施したい」といった要望レベルで記載します。これに対し、「TLS1.3を採用する」「マルウェア対策として定期スキャンを導入する」といった実装案は基本設計で記述します。
フェーズに応じて情報の粒度を変えることが重要です。
「どちらに書くべきか迷ったとき」の判断基準3選
- 目的か手段か?
- 誰に見せる情報か?(PM・顧客向け or 技術者向け)
- 抽象度の違い(方針レベル or 実装レベル)
この3つの視点を持っておくことで、要件定義と基本設計の線引きがブレにくくなります。
初心者エンジニアが「上流工程」を目指すには?
「いつかは上流工程を任されたい」──そんな目標を持つエンジニアに向けて、今すぐできるステップを紹介します。
下流工程で「なぜこの構成なのか?」を考えるクセをつける
まずは構築フェーズの中で、「なぜこの方式を採ったのか?」という背景を考えることが設計思考の第一歩です。
ただ設定を覚えるのではなく、その構成がなぜ必要なのか、要件との関係性を考えることで、設計視点が自然と身につきます。
設計書や要件定義書に積極的に触れる
上流工程を目指すなら、ドキュメントに触れる機会を意識的に増やすことが重要です。
レビューに参加したり、先輩の設計書を読み込むことで、ドキュメントの型や粒度、視点が学べます。テンプレートや過去資料から学ぶのも有効です。
学びをアウトプットして“設計できる人材”へ成長する
自分が学んだ内容や考えた構成案を、ドキュメント化して社内共有したり、ブログやQiitaにまとめることで、設計のスキルが確実に身につきます。
説明できる力は、設計を担うための必須スキル。発信と説明をセットにすることで、評価されるエンジニアに近づけます。
よく聞く質問
Q1. 要件定義や基本設計は、どんな資料を見ながら作成するのが一般的ですか?
A1. 実際の現場では、過去の類似案件のドキュメントや、社内で用意されているテンプレートを参考にすることが多いです。ゼロから書くのではなく、整備された雛形や仕様書をベースに、自社プロジェクトの要件に沿ってカスタマイズしていく形が一般的です。
Q2. 要件定義や基本設計を進めるうえで、クライアントと何度もやり取りするのは普通ですか?
A2. はい、むしろクライアントとのやり取りを密に行うことが、要件の漏れや誤認を防ぐためには欠かせません。一度のヒアリングですべてが固まることは少なく、複数回の打ち合わせや確認を経て合意を取っていくのが基本です。
Q3. 上流工程に関わるには資格を取ったほうが有利でしょうか?
A3. 資格があること自体が必須ではありませんが、未経験で上流工程にチャレンジしたい場合は、基本情報技術者やネットワークスペシャリストなどの資格があると、知識の裏付けとして説得力が増します。実務経験とセットで活用するとより効果的です。
Q4. 要件定義と仕様書って違うものですか?
A4. 要件定義は「何を実現したいか」をまとめたもので、仕様書はそれをさらに詳細に分解し、システムのふるまいを具体的に定義したドキュメントです。設計のフェーズが進むほど内容は技術的に具体化され、仕様書はその出口とも言えます。
Q5. クラウド環境では基本設計の内容も変わってきますか?
A5. はい、クラウド環境では冗長化やスケーラビリティの実現方法がオンプレと異なるため、基本設計において記載すべき項目も変わってきます。たとえば、インスタンスタイプの選定やオートスケーリングの設計など、特有の検討事項が増えます。
Q6. エンジニアでもユーザーインタビューって必要なんですか?
A6. 非機能要件を確定するためには、実際にシステムを利用するユーザーの業務内容や要望を把握する必要があるため、エンジニアであってもヒアリング力が求められます。特に可用性や運用時間などはユーザーの利用状況に大きく左右されます。
Q7. 要件定義フェーズで曖昧な表現はなぜ問題になるのですか?
A7. 曖昧な表現のまま次の工程に進んでしまうと、設計や構築フェーズで認識ズレが発生し、結果的に手戻りや無駄な修正工数を生むことになります。誰が読んでも同じ解釈ができるように、明確で具体的な言葉選びが非常に重要です。
Q8. 基本設計の内容が曖昧だとどうなりますか?
A8. 基本設計が曖昧なままだと、構築を担当するエンジニアが自分の解釈で進めざるを得なくなり、システムの統一性や品質が保てなくなります。また、運用フェーズでもトラブルの原因になりやすいため、設計段階での精度が問われます。
Q9. 小規模案件でも要件定義と基本設計を分けるべきですか?
A9. 小規模であっても、要件と設計は分けて考えたほうが結果的にトラブルが減ります。簡易的なものであっても、「なにをやるか」と「どうやるか」の区別を意識してドキュメント化しておくことで、関係者との共通認識が取りやすくなります。
Q10. 実務で基本設計書を作成するのにどれくらい時間がかかりますか?
A10. 案件の規模や設計範囲によりますが、1~2週間ほどで一通りの基本設計書を作成するのが一般的です。ただし、内容の精査や関係者とのレビュー、修正を含めるとさらに時間がかかることもあり、スケジュール管理が重要になります。
まとめ|違いを理解することが設計力アップの第一歩
「要件定義=何を」「基本設計=どうやって」
この一言こそが、すべての基準になります。目的と手段の違いを理解していれば、迷わず判断できるようになります。
違いを知ることで「迷わないエンジニア」になれる
設計書を書くとき、レビューを受けるとき、会話をするとき。どのフェーズでも、この違いを知っていることで軸がブレず、業務効率も格段にアップします。
違いを説明できる人が、信頼されるエンジニアになる
要件定義と基本設計の違いを“説明できる”ことは、上流工程を任されるための大きな武器になります。
理解だけでなく、言語化・共有できるようになることで、設計の質が上がり、周囲からの信頼も高まります。
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